総括
13年ぶりにJ1を戦う横浜FCの2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響で降格のない特殊なシーズンとなった。
クラブが掲げた目標は10位。結果は15位で、例年通りのレギュレーションであれば残留圏を確保。ルールでなく順位で残留を勝ち取ったと何とか胸を張れる成績を納めた。
10位という目標には遠かったが、試合内容では終始劣勢の試合は少なく、降格のある来季への準備期間と捉えれば価値あるシーズンだった。
戦績
- J1リーグ
- 34試合 9勝6分け19敗 勝ち点33 得点38失点60(得失点差-22) 15位(18チーム中)
- YBCルヴァンカップ
- Cグループ 3試合 1勝1分け1敗 得点2失点3(得失点差-1) 3位(4チーム中)でグループリーグ敗退
- 天皇杯
- レギュレーションにより不出場
個人成績(J1リーグ・ルヴァン合算/括弧内はルヴァン)
出場試合数上位
- 36(3) 瀬古
- 34(2) 斉藤光毅
- 34(3) 一美
- 30(2) 小林
- 30(2) 手塚
- 29(0) 皆川
- 27(0) 松浦
- 27(0) 袴田
- 25(1) マギーニョ
- 25(3) 志知
- 24(1) 六反
- 24(3) 齋藤功佑
出場時間上位
- 2,484(128) 瀬古
- 2,415(180) 小林
- 2,152(169) 手塚
- 2,082(90) 六反
- 2,011(90) マギーニョ
- 1,976(35) 斉藤光毅
- 1,960(0) 袴田
- 1,903(138) 一美
- 1,859(0) 松浦
- 1,692(247) 志知
- 1,606(90) 松尾
- 1,556(90) 伊野波
得点上位(J1リーグ)
- 7 松尾
- 4 一美
- 3 田代、松浦、瀬沼、皆川、斉藤光毅
- 2 小林、瀬古、志知、齋藤功佑
- 1 佐藤、草野、安永
※ルヴァンは瀬沼の2ゴールのみ
警告(J1リーグ)
- 5 手塚
- 4 マギーニョ
- 3 瀬古、安永、六反
- 2 佐藤、志知、伊野波
- 1 田代、瀬沼、齋藤功佑、武田、袴田、松尾、レアンドロ・ドミンゲス
※退場なし
雑感
ルヴァン初戦とリーグ戦初戦の2試合を終えたところで試合開催は中断となった。ルヴァンでは広島に実力差を見せられ、リーグでは神戸に対して何とか勝ち点1を得たが、厳しいシーズンになることを予感させられた。
ところが、中断期間でチームが戦い方を大きく変えた。ブロックを敷く守備から両翼のスピードを生かしたカウンターでJ1昇格を勝ち取った戦い方から、昨季途中から指揮を取った下平監督が元々やりたかった、後方から辛抱強くビルドアップするスタイルへの変更。どのタイミングかは別としてもどこかでやりたかったのだろう。獲得した選手もその戦い方を想定した補強だった。
中断明けからは、短期間に試合数を詰め込んだかなりの強行日程で、横浜FCに限らずどのクラブも選手のやりくりには苦労させられた。感染予防のために記者の取材が制限され、怪我人の情報も無く、出場している/していない選手がどういった状態なのかすら分からない。昨季の主力で言うと、キャラ、伊野波、中山らの出場試合数が激減した。中村や松井はベンチ入りすら無い。そんな中で、若い選手が積極的に起用された。
一美、手塚、小林、マギーニョ、六反といった期限付き移籍加入した選手は、そのために来たのだと言わんばかりに主力を張った。
北爪が抜けて心配された右SBのポジションは、藤井が抜け川﨑が抜けで特に選手層が薄く、主にマギーニョが務めたが、交代時や負傷時には控えがおらず、本来ボランチである瀬古が埋める羽目となった。
若い選手が多いせいか、失点すると脆く、負けた試合では大量失点が目立った。2点リードからの逆転負けや、試合終了間際の失点で勝ち点を落とすことも多かった。ここは来季への大きな課題となる。