これまでにない期待感だったシーズン前。第41節、リーグ戦残り2試合までプレイオフ圏内を争った。高い目標を掲げ、目標達成とはならなかったが、ファンとしては楽しめたシーズンだった。
チーム成績
42試合 勝ち点63 10位 17勝12分け13敗 60得点 49失点 得失点差+11
昨季が勝ち点59だったので、トータルではそれほど大きく上積み出来たわけではなかった。とはいえ最終盤での失速をもう少し耐えられればPO圏内には入っていてもおかしくはなかった。
前半 勝ち点32 9勝5分け7敗 29得点19失点 得失点差+10 後半 勝ち点31 8勝7分け6敗 31得点30失点 得失点差+1
シーズンを半分に分けてみると、イメージとして抱いた「後半失速」も、勝ち点としてはそこまで酷かったわけではないようだ。得点は、前半の「3試合連続4得点」を考慮すれば、レアンドロ・ドミンゲス加入→得点力アップ効果はあったといえる。失点が大きく増えていったのはカルフィン・ヨン・ア・ピンの負傷による離脱期間だけでなく、その副作用もあったと考えるのが自然か。
ホーム 勝ち点39 12勝3分け6敗 30得点 17失点 得失点差+13 アウェイ 勝ち点24 5勝9分け7敗 30得点 32失点 得失点差-2
過去の印象では「ホームに弱いチーム」だったが、今季に限って言えば逆になった。ホームで勝ち、アウェイで引き分ける。
19節からの4連敗、35節からの0勝3分け2敗が痛い。36節終了時での中田監督解任→奥寺暫定指揮→タヴァレス就任のバタバタは、短期的には良い結果を生まなかったので判断は誤りだった。
プレイヤー
出場試合数/時間(J2リーグ戦)
ポジション | 名前 | 試合 | 時間(分) | 得点 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
GK | 高丘 | 41 | 3,690 | ||
南 | 1 | 90 | 負傷 | ||
北野 | 0 | 0 | →非更新 | ||
DF | 田所 | 39 | 3,426 | ||
キャラ | 38 | 3,367 | 1 | ||
西河 | 35 | 3,150 | 2 | ||
小宮山 | 25 | 1,859 | →非更新 | ||
藤井 | 21 | 1,521 | 負傷 | ||
永田 | 24 | 1,333 | 1 | 負傷 | |
新井 | 16 | 1,038 | 1 | ||
渡邉 | 12 | 747 | |||
楠元 | 3 | 233 | →非更新 | ||
川﨑 | 1 | 6 | 負傷 | ||
MF | 中里 | 40 | 3,600 | 1 | |
佐藤 | 40 | 3,593 | 4 | ||
ジョン | 37 | 2,799 | 7 | ||
野村 | 35 | 2,499 | 6 | ||
野崎 | 15 | 601 | 2 | →非更新 | |
寺田 | 10 | 377 | 0 | →非更新 | |
石井 | 3 | 243 | 0 | ||
増山 | 9 | 110 | 0 | 負傷 | |
齋藤 | 6 | 81 | 0 | ||
前嶋 | 2 | 13 | 0 | ||
FW | イバ | 41 | 3,483 | 25 | J2得点王 |
レドミ | 19 | 1,675 | 3 | ||
津田 | 10 | 714 | 0 | →非更新 | |
大久保 | 22 | 515 | 5 | →非更新 | |
カズ | 12 | 452 | 1 | ||
中山 | 12 | 360 | 0 |
総得点60点のうち、イバが4割以上の25得点を占めた。続くのはジョン・チュングン7、野村6、大久保5。
今季の選手層においては、イバの残留、キャラ(カルフィン・ヨン・ア・ピン)の加入が誰の目にも明らかなトピックだった。シーズンが始まるとその予想は的中した。イバはJ2得点王。キャラの加わったDFラインは高い位置を取り、中盤から前の負担を軽減し、2列目、3列目の攻撃参加を助けた。
問題はそのバックアップで、限られた予算内で難しかったのかもしれないが、彼らが欠けた試合でその穴を埋めるのは容易ではなかった。
それでもイバのいない穴は大久保がよく補った。プレイ時間こそ減ったが、途中交替から持ち味の豪快なヘディングでのゴールを決めた。終盤にイバが負傷で離脱した際にはスタメン出場し、足下での鮮やかなゴールもあった。
シーズン途中にレアンドロ・ドミンゲスを獲得した事も大きかった。それまではロングボール主体の空中戦で、イバがポストプレーをしたセカンドを狙うアタッカーにはジョン・チュングンが担う事が多かったが、地上戦の選択肢が増えたことで相手のイバへのマークを逆手に取る攻撃が増えた。直接のゴールだけでなく、プレースキックのキッカーも努め、精度の高いキックでアシストも多く記録した。
一方で、キャラの穴は大きかった。プレースタイルによるところもあったかもしれない。今季最も多かった西河のコンビでは、キャラがアタック、西河がカバーの役割があった。終盤にキャラが負傷した際に替わってその位置に入ったのは楠元で、対人で前へ出るプレースタイルは近いと思っていたが、それまで出場機会がなかったためか積極性は見られず、失点に直接繋がるミスを何度も犯してしまった。渡邊や、シーズン途中の補強で広島から獲得して川崎は、怪我等で期待通りとはいかなかった。
その他のポジションについて
シーズン通してかなり固定されたメンバーで戦った印象がある。右SBと両SHには怪我人が出たせいで入れ替わりがあったが、コンディションでスタメンが入れ替わることはまれだった。試合終盤に展開によって若手が起用されることはあったが、選手層の底上げはあまり進まなかった。
GK
南のまさかの怪我があったが、高丘がオフシーズンでの経験も活かして終始落ち着いたプレーを見せた。昨季レギュラークラスだった渋谷が移籍した穴を全く感じさせなかった。
一方、控えGK不在でユースを登録したり、慌てて北野を補強した。
SB
左は永田の怪我もあり、シーズン通して田所が務めた。田所の安定感あるプレーはチームを大いに助けた。右は藤井の怪我で新井、小宮山が二分したが、どちらも決め手を欠いた。
MF
ボランチは佐藤と中里で固定。両サイドはジョンと野村が主に努め、不在時には野崎や小宮山がその位置へ入った。
警告&退場
退場
1 佐藤
警告
6 佐藤 キャラ 4 藤井 西河 中里 野村 イバ ジョン 小宮山 レドミ 2 田所 渡邉 大久保 1 高丘 寺田 野崎 新井 永田
チーム一のカードコレクターはやはり佐藤だったが、無理なバックチャージで警告を受けるシーンは激減した。キャプテン就任でプレーする上での意識に違いが出たのか、審判へ抗議する味方を制する仕草も多く見られたのも良い傾向。
監督
最後の最後に監督交代に踏み切ったのは、内情は知らないが、傍目には良手とは見えなかった。
中田仁司氏のキャラクターは得難いものだったし、強化担当だったときに参加したクラブメンバーミーティングでは、これまでクラブに居なかった「信頼できる親分」と感じた。監督専任となった以降、現場責任者であるということは結果責任を求められるということでもあり、もしチーム成績が振るわなければクビを来られる立場であることを大いに心配した。それが現実になってしまったわけである。
契約更新/非更新
今日現在発表されているのは、更新1名、非更新6名。→11/29 非更新+1名
イバの契約更新は特にうれしいニュース。J2得点王はJ1を含む他チームからの誘いがないわけがない。横浜の何かを気に入ってくれて更新してくれたのは、サポーターにとっても承認欲求を満たしてくれる。
非更新の6名は、うち5名が30代。長年リーグ内でも高齢だった選手層に、遅まきながらメスが入ったということだろうか。
昨季までキャプテンだった寺田の非更新は特に残念だが、佐藤と中里のボランチコンビは割って入る余地が今のところなく、寺田本人のパフォーマンスもそれを覆すだけのものは感じられなかった。
津田と小宮山は、チャンスが与えられていたが結果が伴わなかった。津田は今季ノーゴール。もう津田ダンスが出来ないのかと思うと残念。小宮山は怪我から復帰したシーズン。まだ本来のコンディションには戻っていないまま退団。
北野は計算できるバックアップとして加入した経緯があるので、出場が天皇杯のみだったことから退団は予想された。ピッチ外での存在感がどれだけチームに貢献したのだろうか。楠元は出場した試合でもプレーに安定感がなく、25歳という年齢は今後の伸び代を期待するそれではないという判断だろう。
昨季の非更新から再契約となった野崎。今季も非更新となった。