8連敗し、監督交替した直後のホームゲーム。ツエーゲン金沢戦は2-1で勝利し、連敗ストップ。
内容はここ数試合での停滞感を払拭するような出来で、集中力を保ち、よく走り、積極的にゲームを進めることができた。試合終了のホイッスルを聞いたときは、つい声が出、泣きそうな気持ちになった。
後でオンデマンドを見直したが、勝ててないチーム同士の対戦とは思えない好ゲームだった。
勝てない試合が続き、気が付けば順位は、J1昇格圏まであと少しという位置から、J3降格圏に取り込まれそうなところまで大きく落ち込んだ。得失点差はその降格圏にいるチームより悪い。監督交替は、前監督のミロシュルスが辞任を申し入れたものであり、中田新監督は強化からのチーム内人事。
どうしても。せめて勝ち点1は必ず取らなければならない試合だった。
スタジアム到着は、所要のために何とかキックオフ30分前。独特であったはずの雰囲気を肌で感じることはあまり出来なかったが、それでもどこか前向きというか、悲壮感よりも「やってやる」「やってやれ」といったものが感じられる気がしていた。
システムは、ここ数試合試行した3バックから、戦い慣れた4-4-2へ戻した。驚くような選手起用はない。事前の記事で読んだ中田監督のキーワード「シンプル」を体現するような布陣。
戦い方もシンプルさが見えた。攻撃はトップへ早めに当てることと、両サイドハーフの前線への動き出しが目立った。#39大久保へのハイボールだけだと相手にマークされやすいが、サイド深くへのボール、サイドハーフが逆サイドまでダイアゴナルラン。ときおり#10寺田が追い越す動きもあり、DFラインからの組み立てには#8佐藤が下がって加わり、出し所に困って後ろで回すことはほとんどなかった。
守備は、特別何かしているということではなく、競り合いできちんと当たりに行くとか、カバーリングを素早くするとか、地道に着実にプレーしていた。#15市村のオーバーラップは武器の一つなので、その裏のスペースを突かれるのはある程度仕方ないのだが、この日はそこのカバーを#28森本が激しくこなし、サポーターが湧いた。
金沢はリーグ序盤は好調だったが、その後各チームに研究されたことで、6月21日以来勝てていない(7分け5敗)状況は横浜に似ていた。前半は、守備で強くボールに来るところ、攻撃で仕掛ける意識が前回対戦(3節アウェイ)よりも迫力を減じている気がした。出場停止の#3作田に替わってCB起用の#16メンデスは、大久保の高さ対策もあっただろうか。
横浜優勢の試合が動いたのは34分。スローインを受けた市村からの素早いアーリークロスを、ファーサイドで競り勝った大久保がヘディングシュート。よいコースへ飛びゴール。横浜が「大久保の高さ」という強みの部分で先制した。前半は1点リードして折り返し。
後半もどちらも交替なく開始。リードされた金沢が前半に比べて積極性を出し、横浜が押し込まれる立ち上がり。
60分、メンデスが足の故障で交替する。金沢には勢いを削ぐ負傷交替だった。SBからCBへポジションを移した#4チャヨンファンに対して、前線からのチェイシングで#9黒津がボールを引っさらい、GKとの1対1で決定的なシュートを放ったが、枠のわずか左へ外す。
77分、センターライン付近から佐藤のFK。大久保がファーで折り返し、ゴール前で黒津がシュート。一度はGK#31原田に阻まれたが、こぼれ球をもう一度押し込んで2-0。
80分、佐藤に替わり、ようやく怪我から復帰した#17アンヨンハ。アンカーに入って守備を固め、逃げ切りを図る。
84分、CKの競り合いでファールを取られ、金沢にPK献上。#7清原にど真ん中に決められて1点差。
その後も押し込まれ続けたが、何とか凌いで勝利。ゴール裏はビューティフルネームを歌う余裕もなかった。
後がないような状況で、ようやくの勝利。
横浜の戦い方は、中田監督のコメントどおりにシンプルさを取り戻した。局面で戦う姿勢も強く、#14小池、#24松下の両サイドがゴール前へ走り込む回数も多かった。守備でもよく相手を追い、自由を与えなかった。
次節は中2日。佐藤が警告累積で出場できないが、アンヨンハの復帰、中里もおり、この日の気迫を持ち続ければよい試合が出来るはず。期待している。