もっちーの日記

横浜FC観戦記、MacやPCのこと、ままならない日々のことをつらつらと。

幸せな一日

リーグ最終戦はホーム三ツ沢での愛媛FC戦。既に昇格と優勝を決めていたので自分の中にはセレモニーとしての色合いがどうしても強かった。事実、試合を見る目はいつもほどの真剣さにかけてしまった。それでもチームは勝利への執着を見せ、2-0で勝利。試合後の表彰式や、今日で引退する城彰二のあいさつに目頭が熱くなった。
チケットが完売しているのは知っていたから、席が心配で少し早めにでかけることにした。この試合では「青で万席」とうたって、青い風船を飛ばしたり青い紙テープを投げ入れたりするという。そのコピーに触発され珍しく青い服を着ていくことにしたのだが、街はもう冬の気配でみな黒やグレーのモノクロームな服を着ていて、鮮やかな青の自分だけがひどく浮いているような気恥ずかしさがあった。
紙テープは前日に文具店で買っていたが、白いバラは近所の花屋にはなかった。横浜駅でバス乗り場へ向かう途中に花・フラワーギフトなら青山フラワーマーケットという花屋があり、みると「今週の花:バラ」。白いのもあった。一輪取ってレジへ。花屋のレジはこうも回転が悪いとは。自分はラッピング不要だったので「そのままでいい」と言ったら怪訝な顔をされた。210円也。
スタジアムに着くと入場者は並ばされていた。開門からはしばらく経っていたはずだから驚いた。会場の外でスポニチの号外、中でエルゴラッソの号外と青い風船をもらい、買い物もせずまっすぐゴール裏席へ。立ち見ゾーンは案の定既に埋まっていて、少し外れたところへ腰掛ける。
普段なら間違いなく座って観戦するスペースなはずのそこが、今日はちょうど立ち見と座り見の境界だった。左隣の家族連れはゲーフラやLフラッグを持参した常連さんだったが、右隣はおそらく一見さんで、本当は座って見たいのに周りが立っているからしょうがなく自分も立っているという雰囲気があって、申し訳なかった。だが試合が近づくと自分はそんなこと忘れて平気で歌っていたし、叫んでいた。いつからこんなに図太くなってしまったのだろうか。以前はせいぜい手拍子にちょっと参加するくらいだったものだが。
スタジアムの雰囲気もいつもと少し違っていた。11,000人を超えた観客の多さもそうだが、これまで在籍した全選手の名前が書かれた横断幕はうれしかった。横浜FC横浜フリューゲルスの旗を並べて掲げるサポーターをカメラマンが激写していた。紙テープと白いバラがサポーター有志から配られていた。
選手がピッチに登場。まずGK。そして先に登場した愛媛の選手たちは、愛媛サポだけでなく四方全てにあいさつをして横浜サポーターからも大きな拍手を受けた。愛媛は1年目としては充分な成績をあげたが、2年目は今年の徳島や以前の横浜がそうだったようにより厳しくなると思う。がんばってほしい。そして横浜の選手が城を先頭に登場。引退や退団が発表されている選手には特に大きな声が飛ぶ。
今シーズン最後のスタメン発表。

   カズ    城
滝澤  山口  鄭   内田
中島  早川  小村   崔
      菅野

控え:小山 岩倉 ルイス アレモン 北村

選手入場に合わせて風船を飛ばす。観客数が多かったおかげかかなりのきれいさにスタンドからため息も聞こえる。白いバラを掲げて歌う。
試合は今シーズンの横浜の戦い方をなぞるよう。愛媛はらしさを出していたと思うが、横浜はやられちゃいけない部分はほぼケアできていた。お互いのやりたいサッカーがそこそこ出来ていた悪くない試合。
34分、カズがアレモンに交替。既定の交替ではあったけれどあまりに時間が早くて驚いた。怪我による交替だったようだ。というわけで時間は早まったものの、横浜の攻撃はアレモンの長所を活かす形に移行する。少ないタッチで裏のスペースへ入れ、アレモンがスピードで勝負しフィニッシュ。前半は0-0で終了。
後半は長く同じような展開で推移したが、サイドが替わって距離が近くなったことで、ゴール裏からは城へのゴールを期待する声が高まった。
24分のセットプレー。崔成勇のFKを一番ファーで待っていた鄭容臺がびっくりするような鮮やかなボレーシュート。ニアサイド隅へ決まって横浜が先制! 32分、サイドでDFラインの裏に抜けた城が落ち着いて持ち替え、丁寧なクロス。ゴール正面でアレモンがダイビングヘッドを叩き込んで2点目! 城がアシストを決めたことで興奮し絶叫した。
滝澤に替わってルイスが入るとカウンターの鋭さが増す。そして内田に替わって北村。退団が発表されていた北村には大きな声援が飛んだ。何度も裏へ抜けるらしい動き出しを見せ、自分も「キタムラ!」と叫んだ。抜け出しかけたのを愛媛DFが止めたプレーをハンドだと抗議してペットボトルを蹴り上げた高木監督が退席処分を受けた。愛媛の反撃には菅野が何度も凄いセーブを見せて封じた。
試合終了。2-0で勝利。紙テープが投げ込まれた。自分が投げたテープはあんまり上手く飛ばなかった。
試合後にはクラブからリーグ戦終了の報告と、Jリーグから優勝杯の授与式。授与はメインスタンドの中で行われ、つい天皇杯優勝の風景を――規模はぜんぜん違うけれど――連想してまた勝手に熱くなったり。菅野をはじめ若い選手たちのはしゃぎっぷりがまぶしかった。おもわずつられて笑顔になってしまった。

そしてゴール裏席の前で恒例の「みんなで選ぶ年間MVP」。ルイス、カズ、そして城が選ばれた。城の発声で「ヨ・コ・ハマ!」コール。最後にパネルで城の背番号である「9」を作り、その引退を惜しんだ。
気が抜けたように少し座っていたのだけれど、気がつけばまわりは紙テープをはじめかなりのゴミ。少し拾い集めてから席を立った。思い出して売店を覗いてみたが、優勝記念Tシャツは売り切れていたようだった。
帰路は寒かったので、マフラーを巻いたまま家まで帰った。自分なりの思いがあって選んだ、初年度に買ったジャガードのマフラーだ。行き以上に周りの視線を感じたが、それも心地よかった。
(写真は何枚かオフィシャルブログの方に掲載)